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eyes to me~ 私を見て
第56章 さよなら、私の

「未菜さん……止めなさい」
増本が静かに嗜めた。未菜は耳に入らない様子で爪に歯を立てる。ギリギリと軋む音をさせながら。
「何故……?ぽっと出のあいつらが騒がれて……何故この西野未菜が……」
「未菜さん」
増本が未菜の手を掴むと、未菜は増本の手の甲に噛み付いた。
ザクリと皮膚が裂け、紅い血が西野の唇を伝う。
増本は僅かに眉をひそめたが、声も上げずに西野の唇を指で拭った。
「未菜さん……いけませんよ……桜色の綺麗な唇が……汚れます」
未菜は、血を見た途端に怒りを忘れ、うっとりと指でその赤色を華奢な指先で自分の頬に拡げた。
「……舐めてよ……増ちゃん」

