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eyes to me~ 私を見て
第56章 さよなら、私の

「ます……も……さん……私……と……」
未菜は薄目を開けて僅かに微笑み、小さな声で呟き、また眠ってしまった。
『私と……』
言いかけたその先は、何だったのだろう。
優しく口付けて、彼女に問えば答えてくれるのだろうか。
だが、自分にはそうする資格は無い様な気がした。
増本は時計をチラリと見てから、気持ち良さそうに小さな寝息を立てる西野の頬にそっと触れた。
秒針の音がやけに大きく鼓膜に張り付く。
今だけは、夢の中で未菜が安らかに笑っていて欲しい、と祈る様に思った。

