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eyes to me~ 私を見て
第57章 さよなら、私の②

「真理くん……そんなに見られてると食べにくいよ……」
「あ~すまん!」
真理が舌を出して後ろを向いた。鼻唄を歌いながら胸ポケットからスマホを出した時、一緒に何かが床に落ちた。
「――やっべ~……すっかり忘れてた……」
真理は口を押さえる。
「ご馳走さま……なんとか食べれたよ?……真理くん?」
「ひいっ!ごめんごめんごめんっ」
真理は弾かれたように振り向き、頭を何度も下げて美名に封筒を握らせた。
「え……?何?」
怪訝な顔で封筒を見る美名に、真理は目の前で手を合わせて許しを乞うようにまた頭を下げる。
「ごめん!……もう二週間近く持ってたんだけど……なかなか渡すタイミングがなくて……」
美名は不思議に思いながら封を切った。目を見開いて言葉を失う。
入っていたのは、多額の金額の記された小切手と、手紙だった。
「しょう……君」

