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第58章 歌姫を見守る獣

｢う――ん、どうかしら……もうとっくに終わってて帰っていただいてれば問題ないけどねえ～｣
｢げげ――っ会いたくね――｣
｢う～ん｣

　志村達は眉をひそめてボソボソ話す。美名が怪訝な顔をしていると、スタジオに見知らぬ長身の男性が入って来て、周りのスタッフに笑顔で挨拶している。
　はまじろうにも頭を下げて挨拶をして、にこやかに握手をした。
　背の高い身体に、童顔の丸い頭がひょっこりと乗っかっている様な印象の男性だった。

(剛さんと同じ位の年齢なのかしら……)

　美名がぼんやりと見ていると、男性がこちらを振り返ってお辞儀をした。

｢あららっ！増本さんじゃな～い！｣

　志村が気付いて手を振ると、増本と呼ばれた男性がこちらへやって来る。