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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

二時間後、マンションのエントランス前。
美名は増本を待っていた。
焦げ茶に小さな赤い小花の柄の膝丈のAラインのワンピース、大きめのバックルがポイントだ。
秋らしい茶色のショートブーツを合わせて白いカーディガンを羽織っている。
時折スマホを覗きながらまた赤いバッグにしまい、長い髪に触れたりしている。
綾波は、少し離れた場所に停車しているタクシーの後部席から見つめていた。
美名が降りて来た時、その愛らしさに心が騒いでタクシーから降りてその側へ駆け寄り抱き締めたくなった。
この二週間というもの、正体を隠して側から美名を見守って居たが、心底惚れているのだと痛感した。

