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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

風に栗色の長い髪が揺れれば指に絡み付けて口付けたくなり、歌う声を聞けば全身が総毛立つ。
鈴を転がす様に笑い声を立てれば、甘い思いで胸が満たされて、悲しげな表情を見た時には心臓が押し潰される。
(俺は一体、こんな所で何をしてるんだ……)
思わず苦笑いする。
志村の言う通りだ。心配なら側に居れば良いのだ。
もっと器用に自分の気持ちに折り合いをつけて美名の側に居れていたら、今夜の事も
「そんなもんは断れ!」
と言ってやればそれで済んだのに。
だが美名は意外と頑固な面があり、お人好しだ。
言っても聞かなかったかも知れない。

