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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

思いのほか、和やかに時間は過ぎた。
未菜は、自分のデビュー時の失敗談や芸能界の裏表の様々なエピソードを面白おかしく語り、美名を感心させたり笑わせたりした。
勧められるままにワインを飲んでしまい、デザートが運ばれる頃、美名はすっかり酩酊してしまっていた。
美名は、離れてカウンターで静かに珈琲を啜る増本をちらりと見た。
「増本……しゃんは……いい人……ですね」
未菜が一瞬目を見開いた。
「ええ、増ちゃんは本当に良い人よ……憎らしい位に」
「んん?……何?」
美名には、既に心地よい眠気が押し寄せていた。
聞き返しても、未菜は魅惑的に笑うだけだった。

