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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

綾波の怒りを含んだ眼光に、増本は唇を噛んでたじろいだ。
「まさか、大手事務所の看板アーティストの西野未菜が、マネージャーと組んでうちの美名によからぬ事を企んでいるわけではないでしょうね?」
「なっ……何を言いがかりを……」
「とにかく、美名を返せ!今すぐにだ!」
その鋭い声に、増本と未菜は震え上がった。
綾波は片手で未菜の腕をねじ上げ、もう片手は今にも首を絞めようとしている。
増本は蒼白になり、頷いた。
「わ、分かった……だから未菜を離してくれ」
「物分かりが良くて結構な事だ」
綾波は未菜を突き飛ばす。
増本の腕から強引に美名を奪い取り、抱えた。
「未菜――!」
増本は突き飛ばされ道に転げる未菜に駆け寄る。
その隙に、美名を抱えた綾波はヒラリと歩道を降り、車道を素早く横断しタクシーに乗り込んだ。

