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第60章 歌姫の覚悟

　自分で自分を慰める事など今まで考えもしなかった。
　なのに今、淫らに醒めた身体に刺激を与えずにいられない。
　脚の間に躊躇いがちに指を割り込ませる。秘蕾に触れた途端全身が震え、溜め息が漏れる。

｢ん……あ……あっ｣

　廻りをそっと撫でるだけで中が熱くなり、何かが自分に降りてくる気がする。

｢こ……こんな事……私……んんっ｣

　鏡の中に、知らない女を見ている様だった。
　身体の淫らな場所を自らの指で触れて悶える姿……

｢つ……よし……さんには……私……こんな風に……見えてる……の……？｣

　指を大きく動かした時、一番敏感な場所に触れた様だった。

｢あっ――｣

　小さく叫び、壁に崩れる。