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第60章 歌姫の覚悟

｢堺さ――ん、そんな歩き方したらまた転ぶんじゃない？｣

　志村が笑って声を掛ける。
　堺は余裕の表情だった。

｢大丈夫です！自慢じゃありませんが、僕は撮影中に転んだ事はないんですよ――！ハハハハ｣
｢へぇ――｣

　由清が感心する。

｢あ――っ楽しみだな――！美名？俺と半分こして食うのもいいよな～！カップルみたいにさ――！｣

　真理が美名の後ろを付いて行きながらデレデレしていた。
　はまじろうに扮した綾波はイラッとして突然後ろから頭突きをかます。

｢お――わあっ――｣
｢きゃあっ｣

　バランスを崩した真理は前に居た美名に抱き付く形になってしまった。
　綾波は密かに舌打ちする。