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eyes to me~ 私を見て
第60章 歌姫の覚悟

「……確かに店に迷惑かけたらワリィよな……おいっ!表へ出ようぜ!」
真理ははまじろうから目を離さないまま、店から出る。
綾波も頷き後に続こうとした。すると、美名が裾を離さない。
背中に美名の視線を感じながら、綾波は振り返らずに言った。
「心配するな……美名」
その声に、美名の全身がハッと何かを感じ取った。
低くて、でも心地好く鼓膜を震わせる声……
この声を、自分は良く知っている……
この声に身体を熱くしたり、心を甘く疼かされて胸を痛くしたり……
はまじろうは颯爽とした足取りで店から出ていった。
いつの間にか竹下通りにはギャラリーが溢れている。はまじろうが出ていったと同時に歓声が上がった。
美名は震える足取りでニ、三歩踏み出して呟いた。
「つ……剛さん……?」

