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eyes to me~ 私を見て
第60章 歌姫の覚悟


 美名は、涙を流しながら、懸命に考えていた。

 芸能界の騒動を見る度、他人事ながら"人の噂も七十五日"
だよね、などと思っていた。
 ポキノンのパーティで綾波に
 ――ミュージシャンと言えど、恋愛は自然にしたい――
 という事を言ったことを思い出す。
 思えば、何と物を知らない言葉だっただろう。
 自然にしたいと思った処で、それをおおらかに許してくれるばかりの優しい世の中では無い。
 自分の恋愛が取り沙汰されて大騒ぎになるなど、夢にも思わなかった。
 つまりーー自分は人の前に立って表現をする立場で、少なからずも人々に影響を与える人間なのだ、という自覚が無かった。
 甘かった。


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