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第60章 歌姫の覚悟

　自分が傷つくだけではない。
　周りの人達にだって迷惑がかかる。

（そういえば、桃子とお母さんは大丈夫なの？
　陰口を言われたり嫌がらせをされたりしないだろうか……
　それに 、剛さんのお母様……菊野さんは……
　同じ事務所のクレッシェンドの人達にも影響があるかも知れない……)

　しかし、どうしたら良いのだろう。
　悪意に満ちたスクープだが、事実には事実だ。
　反論しようにも、何も、言う事はない。

(だからと言って、何もしないでこのまま人々の口が静かになるのを待つしかないなんて……)

　美名は頭を抱えて目を閉じてひたすら考えた。