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eyes to me~ 私を見て
第2章 歌姫は獣と出逢う

 肩を抱かれて身体が密着すると、優美な香りが仄かに鼻腔を擽る。
 
(これは――綾波の香り……?)

 何故か、身体が麻痺したように動けなくなってしまう。
 綾波の指が顎に伸びて来たかと思うと乱暴に掴まれた。
 噛みつかれる様に唇を奪われ、壁に押し付けられた。
 クールで冷たい印象だった綾波のキスは獣が獲物を食い荒らす様な激しさだった。
 唇も、舌も総て浚われてしまうような――



 ――初対面の私を拐った上、連れ込んでこんな事をしてくるなんてこの男は何を考えているの?
 歌姫にしてやるなんて言ったくせに、結局この人もさっきのスカウトマンとやる事は同じゃない!?――


 頭の中で、理性がこんな言葉を叫んでいる。


『こんなの、まともじゃない』


 そう思うのに、美名は綾波に逆らえずエレベーターの中で思うままに唇を犯され続けた。
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