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eyes to me~ 私を見て
第61章 プリキー大作戦

皆それぞれが期待に満ちた笑顔で待っている。
応援団のメンバーも来ていて、その中には遠くからわざわざ電車で移動して来る人もいた。
折角来てくれた人達に、今から中止にするなどとても言えない。
『――美名ちゃん?』
志村が怪訝な声で聞いてきた。
「はい、わかりました……今日は私、これで帰ります……
お怪我が無くて良かったです……じゃあ、お大事に……」
電話を切ると、クルリと客達の方を向きギターを持ち、明るいコードを激しく掻き鳴らした。
待ち構えて居た人々が歓声を上げる。
「今日は来てくれてありがとうございます――!じゃあ、いきますよ~!」
軽やかなフレーズを弾きながらステップを踏むと客達が手拍子をする。
美名は笑顔で歌いながら志村に心の中で詫びた。
(嘘を付いてごめんなさい……
けれど、待っている人が居るなら、私は歌いたいんです……)

