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第63章 片恋の終わり

｢日比谷野音ライヴのドキュメントの写真集というか……

　ポキノンの増刊号で出すつもりなんです。

　だから堺ちゃん、張り切っていますの～！

　昨夜は遠足前日の幼稚園児みたいに興奮して眠れなかったんですって｣

｢ハハハ……そうなんですか。いや、実は僕も結構ワクワクしてるんですよ｣

　智也の理知的な表情が一瞬崩れ、はにかんだ笑みが浮かぶ。

　ペコは胸を撃ち抜かれて奇妙な叫びを上げて後ずさった。

｢ぴいっ……き、岸さん……貴方のその……無自覚イケメンオーラは……

　殺傷能力……120パーセン……止めを刺される前にわたくしは……

　取材をするべく……じつれい……いだじまず……ギャアアアア｣

｢芝原さん？｣

　智也が怪訝な顔で見ると、ペコは叫びながら脱兎の如くその場から駆け出した。