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第63章 片恋の終わり

　ボランティアが次から次へとやって来て、予想以上の賑わいとなった。

(開場になって、客が入ったらかなりの人出だな……)

　今日のライヴは、岸コーポレーションが全面的にスポンサーとなっている。

　美名も身銭を切って費用を出していると聞き、事務所を束ねている自分が協力をしない訳にはいかない。

　智也は曲がった事が嫌いな男だ。個人的な恋愛や、過去などをほじくりかえし、それをネタに脅したり邪魔をするような連中には我慢がならない。

　企業やタレントのイメージダウンの影響を考えれば、自分の憤りは甘いのかも知れない。が、堂々と同じ土俵に立って勝負するのではなく、いやらしい手段で蹴落とそうとする思惑が気に入らないのだ。

　綾波からの申し出を受けて、密かに探偵を雇ってプリキーへの嫌がらせを企てている人物を調査させていた。

　今朝、その結果が届いたばかりなのだが、綾波とその件についてまだ話せていない。

（綾波個人でも動いているらしいが、無茶な事をもししようとしているならば止めなくては……）