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第64章 獣と獣の対決

　磨きあげられた大理石のフロアを歩き、広い応接室へ通された。

　受付嬢は礼儀正しくお辞儀をし、

｢今参りますのでお待ち下さい｣と滑らかに言い出ていく。

　綾波は、数々のトロフィーや賞状、ポートレートが飾られている棚や壁を冷ややかな眼差しで見る。

｢ジャパン音楽大賞、最優秀新人賞……最優秀歌唱賞……歴代の受賞者の殆どがＯＭＩから出てるな……｣

　クレッシェンドが最有力と言われていたのに、ＯＭＩのある女性アイドルグループが最優秀新人賞を獲った事を思いだす。

　ＣＤの売り上げ、ライヴの動員数、注目度、どれ一つ取ってもクレッシェンドの方が上を行っていたのに。

　志村をはじめとする音楽関係者達は一様に不思議がった。

　裏では、プロダクションが主催者に賄賂を渡して居たのではないか、と噂された。

　受賞したアイドルグループは、一年もしない内にメンバーの契約違反行為で解散する事になってしまう。