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eyes to me~ 私を見て
第15章 歌姫の妹
美名は、アリーナクラスの大きなコンサート会場のステージ中央でライトを浴びて喝采の中、手を振っていた。
『皆さん、ありがとう……ありがとう』
身に纏ったお姫様みたいなドレスの裾を持ち上げて恭しくお辞儀をする。
すると、舞台袖から赤い薔薇の花束を持った綾波が優雅な足取りでやって来て、手を取りそっとキスした。
『美名……俺だけの歌姫……』
『剛さん……』
ふたりは、眩しいスポットライトを浴びながら見つめ合い、どちからからともなく顔を寄せあった。
唇が触れようとした時、激しいエレキギターの音が鳴り響く。
弾かれたようにそちらを向くと、客席から将大が歩いて来た。
ギターを鳴らす彼をスポットライトが追い掛けて姿を浮かび上がらせると、より魅力的に見えてしまう。