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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

「ちょっと!君達――!」
呼び止める誰かの声がした。止められるよりも先に三人はビルの中へ入り、混沌とする人混みを掻き分け、応接を目指して走った。すると、警官二人が担架に誰かを乗せて厳しい表情でやって来る。
担架に乗っているのは西野だった。
口に布を噛まされた西野の顔色は白く血の気がない。布は紅く染まっていた。
ペコが掌で口を覆い、頭を振る。
「まさか……舌を?」
「未菜――!未菜!」
増本が付き添って、青い顔をして呼び掛けている。
「増本さん!」
ペコが増本に駆け寄った。
「申し訳ありません……本当に……申し訳ありません……」
増本は、苦しげに、そう呟くと西野について小走りに行ってしまった。
智也は、立ち止まってしまったペコに
「綾波を探します!」
と言って足早に走っていった。
「は、はいっ!」
堺も追い掛けようとするが、派手にスッ転ぶ。
「堺ちゃん!何してんのこの緊迫した場面で――!」

