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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

智也は応接室にたどり着いた。ドアは開け放されている。
救急車のサイレンが休むことなく鳴っていた。
異様な静けさに三人は不安を覚えたが、智也は唇を結び、決心した様に中へと足を踏み入れた。
ソファは倒れ、テーブルの上のカップとソーサーは粉々に割れ、零れた紅茶が下に伝っている。
先程記者の前に出てきた年配の警備員が、倒れた綾波を抱き起こそうと奮闘していた。
「綾波――!」
三人が一斉に駆け寄る。
警備員は驚いて目を見開いたが、すぐに安堵の溜め息を吐いた。
「丁度良かった……手を貸してくれますか?」

