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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

「綾波君!大丈夫っ?」
「綾波さん!しっかり」
「綾波!」
皆で声を掛けながら、綾波の手を握ったり、出血している頬を布で押さえたりした。が、目を覚ます気配がない。
智也が呼吸を確認すると、難しい表情をした。
「救急車をもう一台呼んで下さい!」
警備員は慌てて社内の壁に掛けてある電話を取る。
ペコが涙目になり、綾波の腹を殴った。
「しっかりして!美名ちゃんが待ってるのよ――!」
「ペコチーフ……乱暴は……」
堺が暴れるペコを押さえようとするが、反対に顎を殴られ、倒れて悶絶する。
電話を終えた警備員が、頭を掻いた。
「西野君の事で大騒ぎで、この彼の方がお留守になってしまって申し訳ないです……」
「本当よっ!あの娘はね――自業自得なの――!綾波君を優先して助けなさいよね――っ」
ペコは、警備員の腹に頭突きを決めた。
「チーフッ!何をしてるんですか!しっかり、しっかりして下さ……」
堺は、顎を押さえながら倒れた警備員の身体を揺する。

