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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

「西野君が最初にここに来た日の事を、よく覚えています」
警備員が遠い目をした。
「え……?」
堺が、綾波の手を擦りながら警備員を見た。
「グレーのブレザーの制服姿の西野君は、増本さんと一緒にあの日、やって来ました。彼女はキラキラ輝いてましたね。私にも元気に挨拶をしてくれました。ですが、何時間かして、このビルから帰る時の彼女の表情は……別人の様に虚ろで……」
智也と、堺とペコは神妙な面持ちで話を聞いていた。
「西野君に初めて会った時の、あの笑顔を、それから見ることはありませんでした……彼女は、顔を会わせるたびに挨拶をしてくれましたが……
日に日に、何て言うんですかね、目付きがキツくなっていくんですよ。
娘と同じ年頃の子なんですけど……何だか切ないです……この世界によって、彼女が狂ったならば、身を引いた方が、いいのかも知れませんね」

