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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

「……う……」
綾波が低く呻いた。
瞼が微かに動いて、唇がもどかしそうに震えている。
「綾波!……綾波!分かるか!」
「綾波君!」
「綾波さんっ」
皆が肩を掴み呼び掛けると、瞼がゆっくりと開かれた。
視線をさ迷わせ、智也達の姿を認め、微かに笑った。
「どうした……怖い顔をして」
「キャア――――!生き返ったわぁ――!」
ペコは絶叫して、堺の首を締めながら揺さぶった。
「チッ……チーフ……何故……ゲホッ」
智也と警備員は、綾波の脈拍を測ったり、眼球の動きを見て顔を見合わせた。
「……意識はハッキリしてるが……」
「脱水している可能性があるね。治療を受けた方が」
「……いらん」
綾波は誰に向けるでもなく呟くと、顔をしかめながら身体を反転させ、腕を床に付いて身体を起こす。
「あ、そんな直ぐに動いたら――」
止めるペコに笑顔を向け、ふらつきながら起き上がり、智也を見た。
「救急車は、キャンセルしてくれ」

