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eyes to me~ 私を見て
第65章 castle in the air

智也は眉を寄せた。
「無茶な……長時間縛られて、身体が普通の状態じゃないんだぞ?
点滴を受けた方がいい……その顔の傷も治療を」
綾波は、部屋の窓際に置いてある大きな花瓶に活けてあった花を抜き取ると、頭から水を被った。
「なっ……何をしてるんだ!」
「綾波さんっ?」
「ええっ!?」
呆気に取られる一同をよそに、綾波は頭を何度か振り、濡れた髪を手でかき上げる。
「水分補給なら、これで足りる」
智也は、諦めた様に肩を竦め、スマホを出し救急車をキャンセルする旨を連絡する。
「……行くんだな、今から」
智也の問いに、綾波は頷いた。
「姫様が、俺のキスを待っているんでね」

