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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て

美名は、中央前にあるお立ち台に片足をのせ、攻撃的なフレーズを鳴らしていた。
由清の正確なリズムがフレーズを支え、力を与え、真理の重低音のベースがアンサンブルに厚みを添える。
ダンスと、重厚なロックのインストから始まったプリキーのステージに、観客は夢中だった。
(皆、こっちを見てる……?皆の心が、此処に集まってる?)
美名は、ピックを口にくわえて複雑なソロを奏でながら、密かに客の反応を見ていた。
今まさに、上京してから六年間、路上ライヴで鍛えられた、ある種の勘と、人の目を惹き付ける力を、如何なく発揮している。
(――行ける!)
美名が、由清と真理にウィンクで合図をする。
攻撃的なロックから一転、ポップでキャッチーな愛らしいサウンドが奏でられる。
それが何の曲か分かった客達は、狂喜にどよめいた。
美名は、右手を上げて叫ぶ。
「一曲目からぶち上がって行くよ!
"恋するcherry soda"!」

