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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て

ステージに向かい振り上げられる無数の腕を見ながら、美名や真理、由清は、この曲が出来上がり、ステージに立つまでの日々を思っていた。
デビュー曲を盗まれ、途方に暮れる間も無く、三広や亮介も巻き込み徹夜で作り上げた
"恋するcherry soda"
あの、波瀾丈な収録になった、ミュージックスタイルでも演奏した曲。
(ここから、また始まるんだ――私は……プリキーは)
心地好いメロディーと、人々の歓声に酔いながらも、美名は
"溺れたらいけない!"
と、自分に言い聞かせる。
まだ始まったばかり……ひょっとしたら、始まってさえ居ないのかも知れない。ここから更なる素晴らしい音の世界に、昇って行きたい――
皆と一緒に……
(そして……貴方が……隣に居てくれたら……)
綾波の、前髪の中から覗く強く、涼やかな瞳が胸によぎる。
美名は湧き上がる切なさを長いシャウトに込めた。

