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eyes to me~ 私を見て
第17章 騎士が獣に変わる夜
「お、思い付かないからカレーにしようか!後は、適当に何かつまむ物を買って――」

 顔を見れなくてつい小走りになるが、つんのめって倒れそうになる。

「おっと!」
 
 翔大が素早く美名を後ろから支えた。
 ドキドキしながら振り返ると、彼が呆れた顔で見ている。

「美名は危なっかしいな……そんなんで芸能界でやってける?」
「うっ……ま、まずいかな」
「まあ、俺も付いてるし」

 ポンと頭を叩かれ、思わず見つめると、溜め息を吐かれた。

「だからさ……そんな目で見られたら、抱き締めたくなるんだよ」

 翔大は、素早く美名の手を引いて誰も居ないペットフードのコーナーへ連れて行くと、力一杯抱き締めてきた。

「し、ししし」

 叫ぶ前に翔大はバッと離れて、鼻を摘まんで来る。

「んっ」
「隙あらば襲われるって思ってて丁度いいかもな」
「えっ……」
「さあ、桃子ちゃんが待ってるから急ぐか」

 美名は手を引かれて翔大の後ろを歩いた。

(……しょう君の後ろ姿も大好きだった。こうして歩いている時、ステージで背をふと向ける時……)

 二人で買い物をしていると、まるで以前に戻ったみたいだ。
 端から見ればカップルに見えるだろう。

 ――けれど、今私は綾波さんに恋してる……
 
 きゅんと胸の奥が痛む。
 翔大に手を握られながら、美名は綾波を思った。



(剛さん……早く帰ってきて……)




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