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eyes to me~ 私を見て
第28章 獣の求愛
キッチンに残された面々は微妙な空気だった。
由清は、真理が溢したコーヒーを渋い顔で綺麗に拭き取り、ふう、と溜め息をついた。
真理はようやく咳が止まると、フラフラと席を立つ。
「そうだ忘れてた……俺は腹痛なんだ……
もう寝る……さらば」
虚ろな目で足元が覚束ない様子で部屋へ歩いていくのを由清が心配そうに見ていた。
「どうしたんだ、アレ」
「真理君も、恋の病ね」
「ええっ!?」
志村は綾波の土産のボルドーを棚から出してグラスに注ぎ、由清にも勧めた。
由清は受け取ると志村のグラスとカチンと合わせ乾杯する。
「新しいprinces & junkyの門出に乾杯ね」
「……」
複雑な表情をする由清に志村は明るく言った。
「翔大君はバンド向きじゃないかもね。
ソロでスカウトされて、案外あなたたちより早く売れちゃったりするかもよ?
うかうかしてられないわ。頑張りましょうね!」
その時、テレビから流れてきたニュースに志村は目を奪われる。
『音楽プロデューサーで歌手の大室 哲哉(おおむろ てつや)さんが、今日行われた長野県でのイベント中にステージから飛び降り怪我をして入院しました……』
「ふうん……」
由清もワインを口に含みニュースを見た。
由清は、真理が溢したコーヒーを渋い顔で綺麗に拭き取り、ふう、と溜め息をついた。
真理はようやく咳が止まると、フラフラと席を立つ。
「そうだ忘れてた……俺は腹痛なんだ……
もう寝る……さらば」
虚ろな目で足元が覚束ない様子で部屋へ歩いていくのを由清が心配そうに見ていた。
「どうしたんだ、アレ」
「真理君も、恋の病ね」
「ええっ!?」
志村は綾波の土産のボルドーを棚から出してグラスに注ぎ、由清にも勧めた。
由清は受け取ると志村のグラスとカチンと合わせ乾杯する。
「新しいprinces & junkyの門出に乾杯ね」
「……」
複雑な表情をする由清に志村は明るく言った。
「翔大君はバンド向きじゃないかもね。
ソロでスカウトされて、案外あなたたちより早く売れちゃったりするかもよ?
うかうかしてられないわ。頑張りましょうね!」
その時、テレビから流れてきたニュースに志村は目を奪われる。
『音楽プロデューサーで歌手の大室 哲哉(おおむろ てつや)さんが、今日行われた長野県でのイベント中にステージから飛び降り怪我をして入院しました……』
「ふうん……」
由清もワインを口に含みニュースを見た。