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eyes to me~ 私を見て
第31章 騎士の反撃
志村の目からブワッと涙が流れる。
「じ、じょうだぐん――!ざみじいげど、あだだの活躍ぼいのっでるば――!オオオオ」
「は、はい」
胸にしがみついてオイオイ泣く志村の背中を、翔大は苦笑いして叩いた。
「美名を……宜しく頼みます」
志村は激しく肩を震わせてハンカチで鼻を何度も咬みながら病室を出ていった。
翔大がふう、と溜め息をついた時、隣のベッドのカーテンがシャッと開いた。
志村と同じ位の年頃らしき短い金髪の男がベッドに座っている。
男は翔大を上から下まで値踏みするように無遠慮に見た。
腕に包帯を巻いた男はパジャマ姿だが、垢抜けた物腰と鋭い目は、何処か只者では無い印象を与える。
翔大は少し警戒しながらも、ペコリと頭を下げた。
「お騒がせしてすいません……」
すると男は一転、人の良さそうな笑みを浮かべてフレンドリーな返事をした。
「いえいえ、いいんですよ……今日退院されるんですか?」
「はい……貴方は昨夜入院されたんですね」
「ふふ。年甲斐もなく無茶してしまってね」
男は包帯を巻かれた腕をちらり、と見た。