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eyes to me~ 私を見て
第31章 騎士の反撃

「ああ!皆、そろそろ行くわよ!
 私、夜打ち合わせが入ってるの。それまでに戻らないとだわ!」

 志村はハッとして叫ぶ。
 桃子も袋を持ち、翔大に手を振った。

「翔大さん、またいつか一緒に遊んでね?さ、姉ちゃん行くよ」

 桃子は、美名の手を引っ張り歩いていく。
 美名はちらりと翔大を振り返るが、目が合うと慌てて逸らして桃子と行ってしまった。
 長い髪が揺れる後ろ姿が遠くなるのを翔大が見つめていると、目の前にコーヒーカップが差し出される。
 鋭い目の真理がそこにいた。

「ほれ、志村さんから。お前にもだとさ」
「――サンキュ」

 翔大が受け取ると志村が向こうから真理を呼んでいる。

「真理く――ん!先にバス乗ってるわよ?
 翔大君、またね――!」
「……じゃあ俺も行くわ」

 真理が踵を反そうとした時、翔大が擦れ違い様に静かに、低く言った。

「――お前には渡さない」
「……!翔大っ」

 真理が振り返った時、既に翔大は軽やかな足取りで真理達とは逆の出口へ向かって歩いていた。
 それは、かつて仲間だった者達が袂を別けた(わけた)瞬間だった。





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