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eyes to me~ 私を見て
第33章 新生princess&junky
コツン、コツンと誰かが来る足音がした。
美名がビクリとする。
真理は美名を抱き上げたままで倉庫の扉を開き、中へと入る。
美名は、暗く湿った空気の倉庫の片隅で、真理に掌で口を塞がれたまま、息を殺す。
足音が近づき、倉庫の前で止まると心臓が跳ねた。
「――美名?……何処に居るんだ?」
(綾波さんの声……)
「……!」
思わず、真理にしがみつく力を籠めてしまう。
「美名?……」
(綾波さんが……私を探して……呼んでいる)
堪らなく切なくて、泣き出したくなった。
やがて溜め息と共に足音が遠ざかって行った。
俯いていた顔を上げると、射るような瞳が目の前にあり、体がすくむ。
真理は腰を掴むと、再び獣を突き刺してきた。
「あっ……も、もうやめてっ」
「何でだよ……感じていただろ……っあいつか……あいつのせいか!綾波の――!」
一層激しく揺らされて、視界が白く染まる。