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eyes to me~ 私を見て
第36章 silent wolfが牙を剥く

ぐったりとした聖恵を見て、ハッとして頬を軽く叩くと瞼がピクリと動き、柔らかに笑いかけて来た。 翔大はホッとする。
「良かった……激しくし過ぎたから……どうにかなったかと思ったよ」
聖恵は栗色のボブの髪をサラリと揺らし、彼の胸にしがみついた。
「どうにかなってもいいもん……」
真っ直ぐに向けられる気持ちに戸惑いながら、先程まで欲情の対象でしかなかった身体を抱き留める。
「聖恵……俺は……」
「分かってる……翔大さんが愛してるのは私じゃない……」
小さな手がギュッと背中に爪を立てる。
聖恵は、翔大がやり場の無い恋情にもがいているのを知って、自ら身体を差し出したのだ。
聖恵を抱く時の翔大は容赦ない獣だが、終わった後はとても優しい。
それは多分罪悪感や同情から来ていて、恋情ではないのだろう。
だが、聖恵はそれでも幸せだった。

