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eyes to me~ 私を見て
第6章 獣の戸惑い
 ベッドを見ると、美名はまたワンピースを着るのに一生懸命になっていた。

「手伝ってやろうか」
「結構です!」

 ツーンとそっぽを向いて、不器用な手つきでボタンを嵌めようとするがその手は震えていた。
 後ろからその手を握ると弱々しく抵抗するが、背中が震え、嗚咽をし始めた。

「美名……」

 綾波は、彼女を包み込む様に抱き締めた。

「触ら……ないで……私の事なんて……好きじゃないくせに……」
「好きだ――」
「……」
「好きだよ……美名」

 一旦言葉にしたら、止めなく苦しい位の甘さが押し寄せて、彼は戸惑った。

 ――俺は、もうこれ程までに美名に惹かれているのか?

「綾波さあん……」

 子供がべそをかいて甘える様に、抱き着かれて泣かれた。
 彼女の髪を撫でながら、いとおしく想うと同時に、美名に良く似たかつて愛していた女の事を思った。
 
 ――俺は、あの女以上に美名を愛す事になるのだろうか?

 それは、彼自身にもまだ、分からなかった。



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