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eyes to me~ 私を見て
第41章 歌姫、舞踏会で歌う

ロビーでは、プリキーチームが勢揃いして堺と談笑していた。
大勢の人達が来ていたが、美名はやはり綾波の姿に目を奪われてしまう。
綾波は今日は眼鏡をしていない為、いつもより柔らかい印象に見えるが、何処か鋭さと哀愁を感じるその眼差しに惹かれてしまうのだ。
志村が堺に何か言って皆がワッと笑う。
綾波も笑みを浮かべこちらを振り返った瞬間、美名は長いドレスにつまづいた。
「あっ……」
素早く差し出された腕に抱き留められるが、その腕は綾波の物では無かった。
見覚えのある節くれだった、でも何処か優美さを醸し出す指。
懐かしい香りに、心臓がバクンと鳴る。
「相変わらず……そそっかしいな」
心地よい鈴の音の様にすっとその声が入り込む。
顔を上げると、すぐそばに翔大の笑顔があった。
翔大の肩の向こうで、綾波が鋭い瞳でこちらを見ている。
(剛さん――)
美名は、翔大の腕をすり抜けようとしたが、ギュッと手を握られて、素早く頬にキスをされた。

