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第41章 歌姫、舞踏会で歌う

　美名と綾波も騒ぎに気付いて振り返る。
　倒れた大室の周りに人だかりが出来ていた。
　堺が救急車を呼ぼうと電話していると、マイカが牡丹柄の振り袖を翻し走って来て、人垣を掻き分ける。

｢ちょっと……退いてください｣

　大室の側へ膝を付き、胸に耳を当てると、志村を振り返る。

｢すいません、ちょっとこれを持っててくれませんか｣
｢えっ……｣

　志村は、マイカを見て何故か驚愕の色をその瞳に浮かべた。
　そこへ桃子と三広も走ってやって来る。

｢早く持って下さい！邪魔になるから｣

　志村は我に返り、マイカの振り袖を持った。

｢蘇生させなきゃ｣

　マイカは大室の下顎を持ち上げる。

｢気道確保！｣