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第8章 溺愛の獣

｢音符に乗って～君の全てを～さらいに行くよ～♪｣
「イエーイ！｣
｢美名ちゃん、最高――！｣

　亮介が美名のアコギを弾き、三広は箸で食器やらテーブルをドラム代わりに叩き、美名が歌う。
　三人があっという間に意気投合してドンチャン騒ぎしているのを綾波は半ば呆れながら見て、ウィスキーを煽っていた。
　亮介も三広も美名をすっかり気に入ってしまったらしく、チヤホヤと離れない。
　ふたりは酔っぱらっている為いつもより余計にうるさいが、美名は上手くあしらっていた。
　居酒屋のバイトで酔っ払い相手は慣れているのかも知れない。
　それに、精神年齢が奴等と同じなのだろう。
　綾波には良く分からない話題で盛り上がっては笑い転げている。