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eyes to me~ 私を見て
第42章 愛欲の塔で
ベランダの真下まで行こうとすると、鋭い美名の声が刺さる。
「来ないで!」
「……美名?どうした」
美名は首を振り涙を噛み締める。
「帰って……帰って下さい!」
綾波は一歩ずつ近付いていく。
「嫌だ!」
「――っ」
「お前は……俺のただ一人の歌姫で……ただ一人の女だ!離さない……絶対に」
美名の瞳からはらはらと熱い涙が溢れた。
今すぐ、その胸に飛び込みたい。
けれど、それは許されない……
綾波を見ないように顔を逸らして絞り出す様に叫ぶ。
「私……私……もう……綾波さんの元には……帰れない……
もう……嫌い……になったの……」
綾波は首を傾げて笑う。
「……見え見えの嘘をつくんじゃない……好きだ、としか俺には聞こえないぞ」
「――!」