この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第42章 愛欲の塔で
「さあ……そこにいろよ?今から行くから……」
「つ……剛さ……」
その時、窓が開き、翔大が顔を出した。
「――!」
美名が振り返ると、彼はベランダへ一歩踏み出してくる。
「……綾波が来てるのかい?」
「……っ」
美名は手すりギリギリに後ずさった。
「翔大――!美名を返すんだ!」
下から綾波が怒鳴る。
真理達も車から降りて駆け寄って来た。
「こっちへおいで……美名は……俺の物になるんだろ?」
翔大は薄く笑って手を差し出したが、美名は首を振って逃れる。
「美名!」
綾波が叫び、美名が下を見ると、翔大は彼女の腕を掴み引き寄せようとする。
「や……離してっ」
「美名っ……逃がさない」
「嫌っ……!」
手すりに背を向けて、手足をばたつかせて拒否した時、大きくバランスを崩した美名は視界が揺れると同時に、身体がフワリと宙を浮く感覚を味わった。