この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第42章 愛欲の塔で
とてつもない寒気に襲われた瞬間、翔大が叫ぶのが聞こえた。
真理や由清、堺も何かを言っている。
足が地面に付いていない……夜空が足の向こうに広がっている。
スローモーションの世界で、自分が落下しているのだという事を認識した時、鈍い何かが折れた様な音と共に身体が回転した。
自分の身体を何かが包んでいる。
手の甲に鋭い痛みが走った。
バタバタと足音がすると、皆が声をかけてくる。
「美名――!」
「綾波さん!綾波さん大丈夫ですかっ」
「綾波さん!」
切迫した叫びに、美名が瞼を開ける。
目の前に、小さく笑う綾波の顔があった。
美名はベランダから落下し、綾波が受け止めたのだ。