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eyes to me~ 私を見て
第42章 愛欲の塔で
「雪乃の心は……最後までお前にあった……」
「……」
志村は俯いた。
大室は目を閉じて、雪乃の面影を追った。
利発な瞳に、小さな耳。
おでこに大きな黒子があって、いつもそれを気にして髪で隠していたけれど、その黒子が可愛くてわざとからかった。
顔を真っ赤にして怒った雪乃。
雪乃と、哲哉と賢一。
家が近所で幼なじみだった三人はいつも一緒だった。
高校を卒業すると同時に哲哉と賢一は歌手デビューして、三人は以前の様に一緒に居られなくなったが、多忙な中でオフがあると、集まって遊びに行ったりした。
賢一も哲哉も、雪乃を大切に思っていた。
デビューと同時に大人気になってしまった二人は、変装無しには外出も出来ない位に時の人となってしまい、実家へ帰る事はおろか、雪乃と会うのもままならなくなって行く。