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第42章 愛欲の塔で

｢今日……倒れた時……雪乃の所へ行ける……そう思ったよ｣
｢……｣
｢柔らかくて気持ちの良い感触がして……
　あの振り袖の女の子が、天使のお迎えかと本気で思ったからな｣
｢ぷ――っ！あんたには天使ちゃんじゃなくて悪魔のお迎えの間違いでしょうよ！｣

　志村はゲラゲラ笑ってのけぞった。
　大室も笑いを溢す。

｢まあ……そうだろうな。……でも、あの子が何故か雪乃にそっくりで……だから、そう思った……｣
｢……そうね。私もビックリしたわ……よいしょ！｣

　志村は、身体を起こそうとしている大室を支えながらベッドを調整した。

｢俺は……お前がずっと憎かった｣
｢そうみたいね……｣