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第44章 デビュー前夜

　明日披露する『恋するcherry soda』
　を歌う美名を見つめながら、志村は心を痛めていた。
　美名はあの日、病院で倒れてしまったのだ。
　精神的ショックが大きい美名を心配して、昨日まで桃子やマイカが居てくれたのだが、いつまでもそうしている訳には行かない。
　二人は学校へ行かなければならないので一旦静岡へ帰った。
　一人にするのが心配なので、しばらくの間、美名を志村のマンションに泊まらせる事にした。
　志村の住み込みアシスタントをしている吉岡あぐりは、休暇で当分戻らない。
　美名に構ってあげられない時もあるので、真理や由清にも泊まってもらうようにした。
　美名の負担を減らすため、受けていた仕事を半分以上は断ったが、以前取材を受けたファッション雑誌やポキノンや、その他の雑誌に、地方新聞の取材も受けていて、その反響が凄まじい。
　何処の編集部にも
『あの女の子は何者？』
『princes ＆ junkyのファンクラブはあるんですか？』

　という問い合わせの電話が来るらしい。