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eyes to me~ 私を見て
第44章 デビュー前夜
何分か走ったのち、美名はへたりこむ。
真理は、肩で息をする美名の手を取り、そっと立たせて笑いかけた。
美名も笑顔になる。
「やっぱ、その顔が似合うぜ、お前は」
「……」
「沈んだ顔になるのも無理はねえけどさ……」
「真理君……」
後ろから急ぎ足で歩いてきた人にぶつかられ、よろめいた美名を抱き留めると、守る様に壁側へと肩を抱き連れていく。
「お前さ……あの夜……飛び降りるつもりだったんか?」
「――」
美名は、真理から顔を逸らした。
「……俺さ、中学の頃に、スッゲー好きなアイドル歌手の女の子が居てさ……」
真理は、側にあったベンチに美名を座らせると、空を見上げて眩しそうにした。
「……本当に大好きだったんだよ。声も、歌ってる顔もめちゃ好きだったな……」
「……」