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曖昧なままに
第1章 忘れえぬ彼女
【プロローグ】
へえ。意外といい処かも……。
俺は休憩がてら立ち寄った公園で、周囲を見渡してそんな感想を抱いた。
割と抜けの良いその敷地内。中程に池があり、その周囲で犬の散歩をする人の姿もチラホラ。それ程には広くない公園だが、周囲を様々な木々が囲まれ落ち着いた雰囲気である。
奥の方には遊具や砂場もあるらしく、今も幼児連れの母親の姿が見受けられた。
俺はこの近所に、越してきたばかり。というか実は現在、引っ越しの真っ最中である。朝から荷物の整理に追われると、それに辟易してちょっと一服という訳だった。
公園に喫煙所を見つけてホッとした俺は、早速煙草を咥えそれに火を点ける。
「ふう……」
吐き出した煙が昇ると、俺は自然と蒼空を見上げた。
初夏の晴天――ゆっくりと動く小さな雲を眺めて。俺はふと此処に至るまでの、紆余曲折を頭に思い浮かべる。
そう言えば、あの時もこんな季節だったな。だけど、天気は丸っきり正反対だ。あの日は朝から、強い雨が降っていて……。
それは俺にとって、忘れようもない出来事――。
彼女と最初に出逢ったのは、もう三年ほど前に遡る。
そしてその予兆は、その少し前に見た夢の中にあったのかも知れない。
【以下三年前・第一章】
へえ。意外といい処かも……。
俺は休憩がてら立ち寄った公園で、周囲を見渡してそんな感想を抱いた。
割と抜けの良いその敷地内。中程に池があり、その周囲で犬の散歩をする人の姿もチラホラ。それ程には広くない公園だが、周囲を様々な木々が囲まれ落ち着いた雰囲気である。
奥の方には遊具や砂場もあるらしく、今も幼児連れの母親の姿が見受けられた。
俺はこの近所に、越してきたばかり。というか実は現在、引っ越しの真っ最中である。朝から荷物の整理に追われると、それに辟易してちょっと一服という訳だった。
公園に喫煙所を見つけてホッとした俺は、早速煙草を咥えそれに火を点ける。
「ふう……」
吐き出した煙が昇ると、俺は自然と蒼空を見上げた。
初夏の晴天――ゆっくりと動く小さな雲を眺めて。俺はふと此処に至るまでの、紆余曲折を頭に思い浮かべる。
そう言えば、あの時もこんな季節だったな。だけど、天気は丸っきり正反対だ。あの日は朝から、強い雨が降っていて……。
それは俺にとって、忘れようもない出来事――。
彼女と最初に出逢ったのは、もう三年ほど前に遡る。
そしてその予兆は、その少し前に見た夢の中にあったのかも知れない。
【以下三年前・第一章】