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曖昧なままに
第13章 忌むべき過去(愛美の独白)
「うん――できるよ」
そう答えてコクリと頷く私。どれだけの思慮があったかと言えば、そんなものは皆無だ。心に宿した、得体の知れない想い。そこに届こうとして、必死に背伸びしてみせる。
それはやはり子供である証拠だけど――それ故、後戻りすることを考えてもいなかった。
廊下でしゃがむ私を前にして、彼はズボンからソレを取り出す。
初めて目の当たりにする、男の人の突起――。
天を衝くように反り返っていて、とても禍々しい。
少し怖くて――それでいて、何処か滑稽にも思えた。
目の前のソレを凝視して――
「私――どうすれば?」
私が訊ねると、彼は黙ってか細い手を取る。
最初に選ばれたのは、私の右手だった。
直に触れたソレを、私は思いの外――熱いと感じる。
私の手との体温の差異を覚えて、彼もまたピクリとした反応を見せた。
そして、私の手首を掴むと、それを前後に動かすように促す。
「こうして――動かせばいいの?」
好奇心を刺激されながら、私は掴んでいる右手を動かし始める。
私の身体には無い、その硬さの感触を確かめ――。
行き着く先も、わからないままに――。
私は一心にソレを見つめ――そして、一心に擦り続けた。
やがて――
「――!」
極限まで張り詰めていたものが、更に強張る様な感覚――。
それに驚き、その表情を窺った――私。
何かに耐えるようにギュッと瞳を閉じる――彼。
苦しいの……? ううん、そうじゃないんだね。
私の本能が何かを感じ取ると――
右手の動きを――できる限り早く。
すると――
「あっ――!?」
先端から勢い良く放たれた――白い液粒。
それが私の頬を掠めて、肩口からべとりと服へと付着。
更に吹き出し続けると、右手にねっとりと絡みついた。
「……」
汚れた頬と右手に伝わる、不思議な温もり。
それが行為の終点なのだと察しながら、私は彼の顔をそっと仰いでいた。
「よくできたな――愛美」
そう私を褒め、そして優しく微笑んだ顔――。
結局――彼は私に、母と同じことはしてくれなかった。けれど、それが仕方ないことだとは、私もわかっている。
だから、今はこれくらいで――いいの。
「うん……」
私は奇妙な充足感を覚え、彼に微笑みを返していた。
そう答えてコクリと頷く私。どれだけの思慮があったかと言えば、そんなものは皆無だ。心に宿した、得体の知れない想い。そこに届こうとして、必死に背伸びしてみせる。
それはやはり子供である証拠だけど――それ故、後戻りすることを考えてもいなかった。
廊下でしゃがむ私を前にして、彼はズボンからソレを取り出す。
初めて目の当たりにする、男の人の突起――。
天を衝くように反り返っていて、とても禍々しい。
少し怖くて――それでいて、何処か滑稽にも思えた。
目の前のソレを凝視して――
「私――どうすれば?」
私が訊ねると、彼は黙ってか細い手を取る。
最初に選ばれたのは、私の右手だった。
直に触れたソレを、私は思いの外――熱いと感じる。
私の手との体温の差異を覚えて、彼もまたピクリとした反応を見せた。
そして、私の手首を掴むと、それを前後に動かすように促す。
「こうして――動かせばいいの?」
好奇心を刺激されながら、私は掴んでいる右手を動かし始める。
私の身体には無い、その硬さの感触を確かめ――。
行き着く先も、わからないままに――。
私は一心にソレを見つめ――そして、一心に擦り続けた。
やがて――
「――!」
極限まで張り詰めていたものが、更に強張る様な感覚――。
それに驚き、その表情を窺った――私。
何かに耐えるようにギュッと瞳を閉じる――彼。
苦しいの……? ううん、そうじゃないんだね。
私の本能が何かを感じ取ると――
右手の動きを――できる限り早く。
すると――
「あっ――!?」
先端から勢い良く放たれた――白い液粒。
それが私の頬を掠めて、肩口からべとりと服へと付着。
更に吹き出し続けると、右手にねっとりと絡みついた。
「……」
汚れた頬と右手に伝わる、不思議な温もり。
それが行為の終点なのだと察しながら、私は彼の顔をそっと仰いでいた。
「よくできたな――愛美」
そう私を褒め、そして優しく微笑んだ顔――。
結局――彼は私に、母と同じことはしてくれなかった。けれど、それが仕方ないことだとは、私もわかっている。
だから、今はこれくらいで――いいの。
「うん……」
私は奇妙な充足感を覚え、彼に微笑みを返していた。