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曖昧なままに
第16章 エピローグ
俺の姿を見つけ声をかけて来たのは、その理由の一端となる彼女。
「ハハハ。天気が良かったから、つい――」
「まだ全然、片付いてないよ」
「戻ったら、牛馬の如く働くよ。だから、一緒に散歩しないか――奈央」
「もう! 呑気なんだから……」
奈央はそう言って、ため息をついた。
そう――俺は奈央と結婚している。去年の十二月のことだ。
二人共、再婚であることもあり。式は近い親戚や親しい友人のみを招き、ごく簡素に済ませている。
これは全くの余談なのだが。彼女と結婚してからというもの、俺に対する上司たちの当たりが強くなっている気がする。
特に柏原課長は、何かにつけてイヤミを口にしたりして……。そうは言っても、課長には感謝した方がいいのかもしれない。俺と奈央が急接近したのも、彼の存在があったから――否、やっぱり関係ないことにしておこう。
どちらにせよ、それらは些末な話である。肝心なことは『あの日』を経て、再び奈央の気持ちが俺に向いてくれたことだった。
そこに至るのは、決して楽な道のりではなく。それでも今、奈央はまた俺を信頼してくれている。
それに応える為、俺は彼女を幸せにしなければならない。否、共に幸せになろうと、今はそう思っていた。
「ハハハ。天気が良かったから、つい――」
「まだ全然、片付いてないよ」
「戻ったら、牛馬の如く働くよ。だから、一緒に散歩しないか――奈央」
「もう! 呑気なんだから……」
奈央はそう言って、ため息をついた。
そう――俺は奈央と結婚している。去年の十二月のことだ。
二人共、再婚であることもあり。式は近い親戚や親しい友人のみを招き、ごく簡素に済ませている。
これは全くの余談なのだが。彼女と結婚してからというもの、俺に対する上司たちの当たりが強くなっている気がする。
特に柏原課長は、何かにつけてイヤミを口にしたりして……。そうは言っても、課長には感謝した方がいいのかもしれない。俺と奈央が急接近したのも、彼の存在があったから――否、やっぱり関係ないことにしておこう。
どちらにせよ、それらは些末な話である。肝心なことは『あの日』を経て、再び奈央の気持ちが俺に向いてくれたことだった。
そこに至るのは、決して楽な道のりではなく。それでも今、奈央はまた俺を信頼してくれている。
それに応える為、俺は彼女を幸せにしなければならない。否、共に幸せになろうと、今はそう思っていた。