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深海のパンツァー
第2章 *1*
***戦前***
ジョルジュ=レオンハルトは、兄の遺品が入った箱を置くと険しい顔で玄関ホールから二階へ駆け上がった。
屋敷には栄華を表すよう豪華な装飾品があったが、今はない。
暖炉にも火はくべられていない。
陽光に反射し、つやが美しい大理石の床は曇り、踏み荒らされたような足跡がいくつも残っていた。
調度品が持ち去られたからである。
「父上!母上!……レジーナッ!!」
レオンハルトは父と母の寝室の扉を開ける。
―-!?
そこにはピストルを構えた父。
蹲って震える母と侍女のレジーナの姿があった。
レオンハルトはレジーナからの手紙を受け取り、高専の寮から実家に戻って来たのだ。
戦死した兄の遺品を軍から受け取っての帰郷であった。
上流階級のレオンハルト家が衰退したのは技術者である父が開発した補給母艦、戦闘艦が次々に弱小国である天津帝国の戦闘艦に撃沈された責任の追及である。
信用のなくなった会社は莫大な負債を抱えて倒産まで風前の灯火であった。
ジョルジュ=レオンハルトは、兄の遺品が入った箱を置くと険しい顔で玄関ホールから二階へ駆け上がった。
屋敷には栄華を表すよう豪華な装飾品があったが、今はない。
暖炉にも火はくべられていない。
陽光に反射し、つやが美しい大理石の床は曇り、踏み荒らされたような足跡がいくつも残っていた。
調度品が持ち去られたからである。
「父上!母上!……レジーナッ!!」
レオンハルトは父と母の寝室の扉を開ける。
―-!?
そこにはピストルを構えた父。
蹲って震える母と侍女のレジーナの姿があった。
レオンハルトはレジーナからの手紙を受け取り、高専の寮から実家に戻って来たのだ。
戦死した兄の遺品を軍から受け取っての帰郷であった。
上流階級のレオンハルト家が衰退したのは技術者である父が開発した補給母艦、戦闘艦が次々に弱小国である天津帝国の戦闘艦に撃沈された責任の追及である。
信用のなくなった会社は莫大な負債を抱えて倒産まで風前の灯火であった。