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深海のパンツァー
第11章 9-ジャスティス改の咆哮
「私は天津の海を害する魔物を倒したいのだ」

「皇帝が死んでは国はどうする?」

皇帝が戦闘艦を指揮するなど本来はあってならない。

だが、紫苑誠はかつて海軍に所属する軍人なのだ。
そして、ジャスティス級“正義”のベースになった本物のジャスティス級戦闘艦を指揮したこともある。

「私は負けない。誰が相手であってもな……貴様が一番よく知っているはずだ」

紫苑は聖剣の輝く刃を見つめたまま二川に問う。

紫苑誠は天津では英雄王と呼ばれる。
この天津で起きた国を揺るがす、大事件を解決した男でもあるのだ。

天津帝国を混沌の闇に覆った魔王・紅蓮を倒し、皇女を救った勇者として。

だが、二川の脳裏にあるのは魔王ではない。
白にも黒にもならない灰色の存在。

「……生きているほうが勝ちか」

二川は呟くと、

「皇帝だからといって特別扱いはできん……軍属としては大佐扱いだ」

「委細承知」

紫苑は聖剣を鞘に力強く戻す。
室内の輝きが失うかと思われた。

「案内してもらおうか。公爵殿が秘密裏に開発を進めていたジャスティスのもとへ」



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