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深海のパンツァー
第13章 11-セイレーンの涙
紫苑は艦長席に深いため息を吐いてから座る。
そして目を閉じる。

幾度となく女性の涙を見てきた。

魔王の妻の涙。
英雄の妻の涙。

女の涙は何かを語るような気がしてならないと紫苑は思う。

紅葉の涙は戦火の絶えない天津に涙したのではないかと思ってしまった。

過去にジャスティスを指揮した時は少なからず若輩者の自分の作戦に反対する将校に咎められ戦死者を1名出した。
あの時は、自分の指揮で完璧に動けば戦死者など出さずに戦えたと思っている。

だが、今このジャスティス改には自分の命令に異を唱える者はいない。
紅葉の死に責任を負う権限がある。


「深海のパンツァーは必ず浮上する……」

そして、この海域にいるのだ。

天津海軍……否―-

「大八島の誇りにかけて敵を討つ」



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